初心者コスプレカメラマン

あなたの選択で未来が変わるヲンザでアフター

ようこそ、なりぴくへ。

あなたは今から初心者カメコ(ぼく)として、ヲタクの一大イベント、
コミッグマゲェーット、通称コミゲに参加してもらいます。

今回の目標はそう!

『ヲンザでアフター』

ヲンザ(という場所)でアフター(コスプレイヤーと打ち上げ)をする事が、
カメコとしてのステータスの一つであると言っても過言ではない。

だが、ヲンザでアフターをする道は過酷だ。

選ばれしカメコのみがそこにたどり着く事ができる。

撮影テクニック・コミュ力・体調管理・メンヘラ回避力。

全ての力を使い、どうか乗り越えて欲しい…。

あなたの選択によって、未来は変わる。
ハッピーエンドか、炎上か、引退か?

ヤバいレイヤーを見抜け、カメコのマウント合戦に負けるな。

さぁ始めよう、ヲンザでアフターを。

登場人物紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公【ぼく】

最近カメラをはじめた。レイヤーの彼女が欲しい。
ヲンザでアフターにあこがれを抱いて、初めてのコミゲ参加。

先月有名コスプレイヤーぴえんちゃんの撮影会に参加して、
ぴえんちゃんの事が気になっている。

コスプレイヤー【ぴえんちゃん】

SNSフォロワー5桁のコスプレイヤー。

撮影会と即売会で稼いでいる。
気に入ったオタクにはガチ恋営業をかけ、囲わせる。

最近はじめたファンティアの1万円プランは満員。
困ったら『ぴえん』って言って、囲いに助けてもらう。

何故かコスプレイヤーの友人が少ないが、
本人は気にしてない。

雰囲気イケメンカメコ【イケメンくん】

10mぐらい離れた所から見るとイケメンに見える雰囲気イケメンカメコ。
見た目が良いだけでなく、Photoshopを使いこなし、写真もうまい。

イベントでは可愛いレイヤーを囲って、
身内撮りをし、周囲のカメコを圧倒する。

基本的に自分よりフォロワー数の少ないカメコを見下している。

ぴえんちゃんとは相互フォロー。

有名カメコおじさん【おじおじ】

見た目はやべーけど、写真がうまい【おじおじ】

レイヤーからの要望には100%応える。

ロケ、スタジオ、イベントなんでもこなす。

SNSのタイムラインには、いつもphoto by おじおじが流れてくる。

ぴえんちゃんをよく撮っている。

コスプレイヤーと結婚できれば良いなと思っているが、
それは無理だとわかっている。

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

第1話 はじめてのコミゲ

(パチパチパチパチ)

2021年8月10日朝10時、ぼくは列に並びながらなんとなく拍手をしていた。

そう、ここはコミックマーケットの入場待機列の中だ。
どうやら10時の開場と共に拍手をする文化らしい。
みんなで拍手をするっていうのも悪くない。

ついにコミゲに参加する事ができた。
嬉しい反面、すでに疲れはじめている。

朝9時に最寄り駅についたものの、手前の駅で降りた方が良かったんじゃないか、
と思うぐらい歩かされ、大きく長い橋の上にある最後尾へとたどり着いた。

かつて注意されたソーシャルディスタンスなんてなかったかのように、
できるだけ詰めて下さいと言われる。まわりでは、密です。って言いながら、
笑い合う人たちがいる。とても楽しそうだ。

そして、どこからともなく不快なにおいがする。なぜ汗をかくとわかっているのに、
汗対策をしないオタクがいるのか?

そう、彼らは自分が臭いという事に気づいてないんだ。
対策うんぬんの前の問題だ。

『列移動しまーーーす』

この声と共に、200人ぐらいが一斉に動き出す。
こんなに素晴らしい集団行動は小学校の行進以来だ。

そんな中でも平気な顔してグイグイ進んでいくおっさんがいた。
もうカメラを抱えている。あれはGanonの最新フルサイズ機だ。
さぞやる気に満ちあふれているのだろう。

ぼくは待機列でカメラを

出す 出さない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・カメラを出す

ぼくは待機列でカメラを出した。

その瞬間疲れからか手を滑らせ、カメラを落としてしまった。
最悪だ。電源が入らない。

ぼくは失意のまま。コミゲ会場をあとにした。

ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・カメラを出さない

 

ぼくも待機列でカメラを出そうかと思ったが、
重いしだるいからやめた。

何度列移動しまーーすをやったのだろうか?
暑い…。とにかく暑い。

すでに前の人のグレーのTシャツは背中が汗でびっしょりだ。
なぜこんな日に汗が目立つシャツを着てるんだろうか。

そんなことよりも隣の女の子の携帯扇風機が羨ましい。
こんな暑いなら、駅で配ってたうちわをもらっておくんだった。

『アイスキャンディー、冷たくておいしいよ』

『水はここが最後。水分補給大丈夫?』

待機列は誘惑まみれだ…。

暑さのせいか、既に判断力が低下している。

ミズ、ツメタイ、アイス、オイシイって感じだ。

 

そうこうしているうちに、逆三角形のシンボルが見えた。
ついに来た!コミゲに来たぞ感が高まった。

足早になる人、スマホで撮る人など様々だ。
普段記念撮影はしない方だけど、この時ばかりは、ぼくもスマホで写真を撮った。

最後に体力をゴリゴリ削られる階段をのぼった。
これがまたきつい。

炎天下で3時間待った後の階段は想像以上にやばい。
その隣を戦利品を抱えて、駅に歩いていく人たちがいた。

彼らは始発組…すでに戦いを終え、明日に備えて眠るのだ。

ぼくの戦いはこれからだ。

 

 

第2話 エントランス到着

2021年8月10日12時

『前を見て進んでくださーい』

『リストバンドはつけましたかー』

『西はこっちー、南はあっちー』

スタッフさんの誘導が神がかっている。

テーレテ、テーレテ♪なんだかアップテンポな音楽と共に、
でっかいTVに可愛いアニメキャラの映像が流れている。

その周辺には、ものすごい数のコスプレイヤーとカメコがいる。

そう、ついにコミゲ会場の入り口エントランスエリアについた。

カメラとストロボの準備をする為にはしっこの方に寄った。

すでに戦いを終えた戦士たちが、涼を求めて、影があるところで、
座り込んでいる。

戦利品を見せ合うもの、うなだれているもの、
どこを見てるかわからないが、満足そうな顔をしているもの、
本当にお疲れ様である。

そんなオタク達を眺めながら、ストロボとカメラの準備をさっさと済ませ、
ぼくはエントランスエリアへと突撃した。

可愛いコスプレイヤーがいっぱいいる。
あれは今年の春に流行った、戦国トラベル系アニメのヒロイン!

あっちには、今期の一押し、魔法ファンタジー系アニメの○○ちゃん!

なんて幸せな空間なんだとレイヤーさんに見とれていると、

『ドンッ!ベチョ!』

うわっ…
なんかベチョベチョする…。
これってまさか…。

そう…汗である。

ありえない…。今までのイベントでここまで混んでた事があっただろうか?
いや、ない。この混雑は山手線のピーク時よりもやばい。

でも気にしちゃいられない。
可愛いコスプレイヤーを撮る為だ。

 

ぶつかってくるオタクを華麗にかわし、
撮りたいレイヤーさんの列の最後尾に並んだ。

どうやらぼくで7人目ぐらいのようだ。

一人3分ぐらい撮ったとして、ぼくの順番が来るのが約20分後か…。

ぼくはTwidderを見る事にした。

電波が悪いようで読み込みが遅い。
この日の為に、撮りたいレイヤーさんのリストを作ってきたのに、
全く役に立たない。

安いから格安SIMにしたのが間違いだったなと後悔した。

ようやく繋がり、スクロールを始めたが、
画像が全く読み込めない。

着替えましたーの文字だけ表示されて、
肝心のコスがわからんではないか、というTLになっていた。

そのままスクロールを続けるとぴえんちゃんがツイートしていた。

なになに…。

 

ぴえんちゃん『寝坊しちゃった☆今から行きます』

まじかよ…ぴえんちゃん寝坊って…何時に来るのかな。
早く撮りたいなと思いつつ、ぴえんちゃんのメディア欄をあさっていく、

表示が遅くてイライラするが、やっぱりかわいい。
これも、あれも、どれもかわいいなぁ。

それに写真も綺麗だ。
このおじおじさんって人、いつもぴえんちゃん撮ってて羨ましいな。

俺も早く写真上手くなってぴえんちゃんとスタジオで撮

『あのぉ~』

ふとレイヤーさんに声を掛けられた。

そう、いつの間にか、ぼくの撮影の番になっていた。

『すいません。すいません。お願いします。』

と慌てて撮影を始めた。

カメラ設定、ライティング、構図。
何もかもダメダメだった。

『ありがとう…ございました』

暑い中頑張っているレイヤーさんには申し訳ないことをしてしまった。

失意のままぼくは一旦休憩する事にした。

 

第3話 カメコの戦場屋上コスエリア

『階段は一段ずつ、スマホ見ながら歩かないで下さい』

というスタッフの注意が聴こえてくる。

そう、ここはエントランスエリアから屋上エリアへと繋がる階段である。

こんな直射日光の当たる場所で、参加者の注意をし続けるスタッフは本当にすごい。
これがボランティアだと?クオリティが高すぎる。

コミゲスタッフになにか素敵なものを送れるシステムがあれば送っていた所だ。

 

それにしても階段はきつい。地味に長い。
めっちゃ先の方にセクシーなコスプレのお姉さんが登っているのが見えたので、
それを目標になんとか登っていたのだが、前方をデカいオタクにはばまれた。

なぜこの貴重な夏休みに、オタクの尻を見ながら階段を登っているんだ…。
もうやだ…と思っているうちに屋上についた。

 

屋上についた瞬間の景色は、それはそれは素晴らしいもんだった。

青い空、白い雲、そしてたくさんのコスプレイヤー。

早く撮りたいのだが、どうやらコスエリアの入り口はだいぶ先のようだ。

コスエリアは柵で仕切られており、その横を通っていくのだが、
レイヤーさんが柵を背にしているので、カメラがこっちに向いてる。

レイヤーさんかわいいなぁ~って見とれていたら、
間抜けな顔が撮られてしまうだろう。

ぼくはレイヤーさんを見たい衝動をおさえ、顔を伏せながら、
入り口へと早歩きした。

 

ようやくコスエリアに入った。
入ってすぐに、5年前ぐらいに流行った学園アイドルコスのレイヤーさんがいた。

可愛いレイヤーさんなのに、4人ぐらいしか並んでない。
これはラッキーだ。ぼくはささっと最後尾へと並んだ。

すると前に並んでいたカメコがこちらをジロジロ見てくる。

なんだよなんだよ。ぼくはそっちの系の趣味はないぞ、
勘弁してく

前のカメコ『…つ…ってるんで』

え?何?きょとんとしていると、

前のカメコ『列切ってるんで!!!』

カメコはちょっとめんどくさそうに、ぼくの目の前に、手で×マークをした。
そう、この可愛いレイヤーの撮影は一旦終わり、並んでも撮れない状況だったのだ。

列切ってるなら、切ってますアピールをもうちょっとしてくれても良いじゃないか。
どこかの企業は列切ってますTシャツとか、グッズを販売したら儲かるよ絶対。

ぼくはしぶしぶ次のレイヤーさんを探すために歩き出した。

 

撮りたいなと思う可愛いレイヤーさんの列は長い。
カメコが10人以上、多い列だと30人はいる。

30人並ぶと、1人3分だとして…90分!?
ちょっとした映画見れるよ。

全然並んでないコスプレイヤーさんもいたが、
正直撮りたいかと言われると…遠慮したい。

カメコは顔と体しか見てないというのは、あながち間違ってはないだろう。

 

さらに奥の方まで歩いていると、座ってスマホをいじっている可愛いレイヤーさんがいた。
あれは最近流行の魚を擬人化したアプリ【SAKANAコレクション】の秋刀魚(さんま)ちゃんだ。

休憩してるのか、誰かを待っているのかわからないが、
撮影できたら嬉しいなと思い

ぼくは秋刀魚ちゃんに

声をかけた 声をかけなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・秋刀魚ちゃんに声をかけた

 

ぼく『すいません。撮影いいですか?』

秋刀魚ちゃん『え?私ですか?あ、ちょっと待ってくださいね』

秋刀魚ちゃんはそう言いながら手鏡を出し、髪型を整え始めた。
髪型を整えてる秋刀魚ちゃんを見ているだけでも可愛い。

そう、何を隠そうぼくは青魚推しである。

かわいい鯵(あじ)ちゃん、キュートな鰊(にしん)ちゃん、人気No1の鯖(さば)ちゃんなど、
青魚にはかわいい子が揃っている、ぼくは青魚箱推しなので、秋刀魚ちゃんも好きだ。

やっぱり秋刀魚ちゃんが一番好きだからコスしてるのかな?
ぼくは思い切って聞いてみる事にした。

ぼく『秋刀魚ちゃん推しなんですか?』

秋刀魚ちゃん『いえ、太刀魚(たちうお)ちゃん推しです♡』

な、なんだと?!こいつ秋刀魚ちゃんのコスしてるのに、太刀魚ちゃん推しだと?

つい先日もTwidderで秋刀魚を(たちうお)と読む人がいて、炎上したばかりだというのに…

このレイヤーさんすごいな…。

 

撮影は順調に進んだ。

ぼく『あと3枚お願いします』

太刀魚ちゃん推しの秋刀魚ちゃん『はーい』

そう言いながら最後の3枚で、
最高のポージングと表情をしてくれた。

そのおかげでめっちゃ盛れた写真が撮れた。
めっちゃ上手く撮れたので、秋刀魚ちゃんにも見せてあげた。

ぼく『めっちゃ盛れました(ドヤッ)』

秋刀魚ちゃん『わー!すごい!めっちゃ綺麗!』

ぼく『でしょー?あとでデータ送りますね』

秋刀魚ちゃん『ありがとうございます。TwidderのIDこれです』

と言いながら、秋刀魚ちゃんは自分のIDと秋刀魚ちゃんが書かれたスケブを持ってくれた。

ささっと1枚撮った。
なんかいい感じだし、秋刀魚ちゃんとはこれからも仲良くなれるような気がした。

もし良かったらスタジオ撮影とかどうかな?と誘おうと思ったが、
ふと、後ろを見ると、10人以上の人が並んでいた。

どうやらぼくが声をかけた後にぞくぞくと並んでいたようだ。

ぼくは撮影のお誘いをあきらめて、お礼を言い、その場を後にした。

 

(秋刀魚ちゃん可愛かったなぁ)と思いながら、
振り返ると、なんだかチャラそうな若い男の子と自撮りしていた。
なんだかとても楽しそうに見えた。

レイヤーさんと自撮り…羨ましい。

ぼくもいつか頼んでみようかなと思いつつ、次の撮影場所へと向かった。

 

4話へ進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・秋刀魚ちゃんに声をかけなかった

 

声をかけるのをどうしようか迷っていると、
イケメン風の男が近づいていった。

どうやら知り合いのようだ。
スマホで自撮りが始まった。

コスプレイヤーと一緒に撮影できるのなんて、
イケメンの特権だよなぁ…と眺めていると、

イケメンはカメラを取り出し、撮影を始めた。

あのカメラ!ZONYの最新カメラじゃないか!?
イケメンの人、装備までしっかりしてる…。

イケメンでお金持ちだなんて神様もどうかしてる…。

撮影が始まるとすぐに、どこから現れたのか、
ものすごい勢いでカメコが列に並び始め、

気付いた時には10人以上の列ができていた。

さっき声をかけておけば…と思いつつ、
ぼくも並んだ。

 

30分ぐらい待っただろうか、
ようやくあと一人でぼくの番となった時、
前のカメコが秋刀魚ちゃんに呼ばれた。

なにやら話をしているようだ。

カメコがうんうんと、うなずいてまた撮影を始めた。

そして撮影が終わってついにぼくの番と思ったその時、

 

カメコ『秋刀魚ちゃん休憩するらしいので囲みでお願いしまーす』

そう言うとぼくの後ろにいたカメコ達がいっせいに前になだれ込み、
押しつぶされそうになった。

20人ぐらいのかこみの最前列でぼくはしぶしぶシャッターを切った。
正直囲みは好きじゃない。なんか撮影してる気にならないからだ。

ささっと10枚ぐらい撮って、囲みから出ようとしたが、
まわりは腕、腕、カメラ、ストロボ、腕、腕だ、

『出まーす!出まーす!!』って叫びながら、
カメコの腕とカメラを押しのけ、ようやく囲みの外に出られた…。

 

ぼく『ふぅ~』

やっとの思いで囲みを脱出し、機材を見ると…

ない!?ストロボにつけてた、光を綺麗にするアイテムがない!
どうやら囲みを出る時に落としたようだ。

どうしようあれがないとダメなんだよなぁ…。
と困っていると、

?『これ君のでしょ?』

と声をかけらた。さっき秋刀魚ちゃんと自撮りしてたイケメンだ。

ぼく『え?あ!ありがとうございます。ぼくのです』

さっきのイケメン『最前でぶつかられて落としてたよ。囲みの一番前ってきついよねぇ』

ぼく『そうなんですよ~。ほんといきなりで、困っちゃいました』

さっきのイケメン『だよね。囲みは戦場だね。お互い頑張ろう』

ぼく『ですね。がんばりましょう』

そう言うとイケメンは去っていった。
顔もイケメン、装備も良くて、やる事もイケメン…。

あれには勝てなそうだなとおもいつつ、次の撮影場所へと行くことにした。

 

第4話 歩きスマホ

2021年8月10日13時30分

秋刀魚ちゃんを撮ったあと、僕は色んなレイヤーさんを撮りまくった。
コミゲはほんとに可愛いレイヤーさんがいっぱいいて困る。時間と体が足りない。

今並んでるのは、最近実装された、ぶり(鰤)ちゃんだ。

まさかこんなに早くぶりちゃんのコスプレイヤーを撮影できるなんて、
思ってもみなかった。

初期キャラであるハマチちゃんの進化として、
ファン待望のぶりちゃんが5日前に実装されたばかりだ。

ということもあってか列が長い。かれこれ30分は並んでいる。
あと10人ぐらいでぼくの番になる。

(ピコン)

スマホが鳴った。どうやら少し電波がまともになったようだ。
周りを見ると、歩くWifiですって書いてる大手携帯メーカーの人がいた。
とてもありがたい。

 

あ、ぴえんちゃんがツイートしてる。

普段はしていないが、今日だけぴえんちゃんがツイートしたら通知されるようにしていた。

ぴえんちゃん『着替えた~。今日はこれ~』

ぴえんちゃんはまさかのぶりちゃんコスだった。
とても可愛い。正直クオリティは今並んでるレイヤーさんの方が高いのだが、
ぴえんちゃんの方が可愛い。

(ピコン)

ぴえんちゃん『とりあえず、防災公園行きます。フォロワーさんと会えたらいいな♡』

防災公園だって!?がっつり反対方向じゃないか…。
今すぐ向かいたいけど、どうしよう、今のこの列も30分も並んだんだ。

とりあえずリプするか

ぼく『めっちゃかわいいですね。ぼくも防災公園行くので良かったら撮らせて下さい。』

よし送信っと。
さて、どうしようかな。

 

ぼくは

そのまま並んだ すぐに防災公園へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま並んだ

 

まだ時間もあるし、焦って移動する事もないだろう

ぼくはせっかく30分も並んでたので、そのまま目の前のぶりちゃんを撮影する事にした。

それにしても屋上は暑い…。休憩といえば、列でポカリを飲んでるぐらいだ。
お昼ご飯も食べてないし、さすがにそろそろ疲れて来た。

(ピコン)

お?まさかぴえんちゃんからリプライ返ってくるか!?
と思って見たらただのメルマガだった。

くっそ、このタイミングでメルマガは勘弁して欲しい。

(ピコン)
またどうせメルマガだろ?と思ったら、今度はぴえんちゃんのツイートだ。

ぴえんちゃん『迷っちゃった。ここどこ?防災公園行けない』

なんて事だ、こんな時こそかっこ良く助けてあげないと!
撮影もしたい、けど助けにも行きたい。

そうだ!

とりあえずぼくは防災公園へのアクセスマップを添付してすぐにリプした。

『これ見ながら行けると思いますよ』っと。

(ピコン)

ぴえんちゃん『画像が見えないよぉ』

あ!忘れていた。混んでる場所だと画像全然見えないんだった。
そんな事をしているうちに、リプが4個もついてた。

さとぉーさん@コミゲ全通『迎えにいきましょうか?』

Aoi@西1わ99『大丈夫ですか?看板見たらいけると思うよ』

闇のまれたkeisuke@コミゲ1,3,4『どこ?』

Mikesa dkaldi『إنه لطيف للغاية』

なんか色々大変な事になってる。
これは…一刻も早く助けにいかないと。

ぼくは目の前のぶりちゃんを5枚だけ撮影して、
すぐに防災公園方面へと急いだ。

だが、混んでる!めっちゃ混んでる。
屋上エリアから脱出するだけでも大変だ。

人をかき分け、ようやく屋上エリアから降りる階段についた。
階段を降りようとしたその時、

(ピコン)

ぴえんちゃん『優しい人に教えてもらえて防災公園に行けそうです♡』

どうやら無事に行けそうなようだ。
ぼくが助けてあげれなかったのは悔しいが、こればっかりは仕方ない。

ぼく『良かったですね。ぼくも今から防災公園に行…

(ズルッ)

えっ?

 

(ドンッ)(バキッ)

ぼく『いたたたた』

足を滑らせて、転んでしまったようだ。
幸いにもケガらしいケガはなかった。

歩きスマホはやっぱり危ないなぁ。

気を取り直して防災公園へと向かおうとしたその時、

知らないオタク『あのぉ~。大丈夫ですか?』

ぼく『え?全然大丈夫ですよ!ケガもないし』

知らないオタク『え…いやその体じゃなくて…』

オタクは僕の腰の方を指さした。

 

ぼく『あぁぁぁぁぁぁ』

なんとレンズがバッキバキに割れているのである。
24回ローンで買って、まだ支払いが22回も残ってるのに…。

なにより今日は荷物を軽くするために替えのレンズを持ってきてない。

もう撮影ができない。

ぼくは失意のままコミゲ会場をあとにした。

歩きスマホはやめましょう編

ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに防災公園へ向かった

ぼくはすぐに防災公園へ向かった。

だが、混んでる!めっちゃ混んでる。
屋上エリアから脱出するだけでも大変だ。

人をかき分け、ようやく屋上エリアから降りる階段についた。
階段を降りようとしたその時、

(ピコン)

スマホが鳴った。確認しようとしたら、

スタッフ『歩きスマホはやめて下さい。前見て前』

と怒られてしまった。
確かに階段で歩きスマホは危ない。

ぼくは早くみたい衝動をおさえつつ、急いで階段をおりた。

(ピコン)

またスマホが鳴った。ぴえんちゃんのツイートだ。

ぴえんちゃん『迷っちゃった。ここどこ?防災公園行けない』

なんて事だ、こんな時こそかっこ良く助けてあげないと!

そうだ!

とりあえずぼくは防災公園へのアクセスマップを添付してすぐにリプした。

『これ見ながら行けると思いますよ』っと。

(ピコン)

ぴえんちゃん『画像が見えないよぉ』

あ!忘れていた。混んでる場所だと画像全然見えないんだった。
そんな事をしているうちに、リプが4個もついてた。

さとぉーさん@コミゲ全通『迎えにいきましょうか?』

Aoi@西1わ99『大丈夫ですか?看板見たらいけると思うよ』

闇のまれたkeisuke@コミゲ1,3,4『どこ?』

Mikesa dkaldi『إنه لطيف للغاية』

なんか色々大変な事になってる。
これは…一刻も早く助けにいかないと。

まだ更衣室出たとこぐらいだろう。

ぼくは更衣室近くの庭園エリアへと向かった。

庭園エリアになんとぶりちゃんレイヤーが座ってるじゃないか?
まさかぴえんちゃん!?

コスしてるし、下向いてるからわかりにくいな。
でもずっとスマホいじってるし、あれは、迷ってるぴえんちゃんに違いない。

ぼくは勇気を出して声をかけた。

ぼく『あのぉ~、ぴえんちゃんですか?』

下向いてるレイヤー『え”?』

ぼく『わわわ!ごめんなさい間違えましたぁぁぁぁ』

なんと下向いてるレイヤーさんはいわゆる男の娘だった。

男とぴえんちゃんを間違えるなんてありえない。

 

(ピコン)

ぴえんちゃん『優しい人に教えてもらえて防災公園に行けそうです♡』

どうやら無事に行けそうなようだ。
ぼくが助けてあげれなかったのは悔しいが、こればっかりは仕方ない。
なにせぼくは男の娘に…ウッ…

間違えた事は忘れて、とりあえずリプをする事にした。

ぼく『良かったですね。ぼくも今から防災公園行きます。』っと。

次は間違えないようにするぞと決心し、ぼくは防災公園へと向かった。

 

第5話 ここが天国防災公園

庭園エリアを抜け、防災公園が見える交差点にぼくはいた。

『はい、信号変わりまーす』

警備員さんが横断歩道で交通整理をしている。
こんなに暑いのにご苦労様だ。

 

横断歩道を渡ったが入り口がどっちかわからない。
とりあえずぼくは人の流れについていくように右に行った。

公園を囲う黒いフェンス越しに、レイヤーさんがいっぱい見える。
防災公園に来るのも初めてだ。

噂には聞いていたが、本当に広い。

そして、ほどよい人との距離感、心地良い風、テントで座れる休憩所、
あまり混んでいないお店とトイレ。

ビッグサイト側のコスエリアに比べれば、
ここは天国じゃないだろうか。

年々人気のエリアになる理由がわかった。

 

とりあえずぼくは

ぴえんちゃんを探した 休憩した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぴえんちゃんを探した

 

ぼくはすぐにぴえんちゃんを探しに行くことにした。

ぐるっと芝生のエリアを歩き回ったが、見つからない。
着いたよツイートもまだないようだ。

もしかしたらまだ着いてないか、休憩してるのかもしれない。
ぼくは一旦他のレイヤーさんを撮る事にした。

 

撮るのは歩き回ってる途中に見つけた、鮎(アユ)ちゃんだ。
めちゃくちゃ可愛いのに3人ぐらいしか並んでない。

ぼくは早速列に並んだ。

川魚系の中でも人気が高い鮎ちゃん。
今日もいっぱい鮎ちゃんレイヤーがいたが、
このレイヤーさんが一番クオリティが高い。

こんなに可愛いのに列が短いなんて、ぼくはなんてラッキーなんだ。

(ピコン)

スマホが鳴った。
どうやらぴえんちゃんが防災公園に着いたが、
暑いから休憩するようだ。

良かった。ぼくはゆっくり鮎ちゃんの撮影列で待つ事にした。

 

だが、10分待ってもいっこうに撮影が終わらない。
何分撮ってるんだあの先頭の人。イベントでは長くても3分ぐらいだろ。

レイヤーさんを独占したい気持ちもわかるけど、後ろも気にして欲しいよ。

撮影した画像を見せて、なにやら仲良さげに話している。
知り合いなのだろうか。どうでも良いから早くして欲しい。

 

その時、撮影してたカメコが、先頭に並んでる人に何かを言っている。

チッと舌打ちをしながら先頭のカメコがこちらに振り向いた。

舌打ちカメコ『身内撮りだってよ』

不満そうに舌打ちカメコは去っていった。

 

そう、このレイヤーさんとカメコは身内撮り。
つまり並んでも撮れない。知り合いしか撮らせない状況だったのだ。

並んでも撮れないのなら意味はない。
身内撮りするなら身内撮り中です。って看板でも出して欲しいな。

ぼくも列を離れて、ぴえんちゃんの所へ行くことにした。

 

ぴえんちゃんのツイートにしては珍しく、場所がわかりやすかった。
防災公園を上から見た画像と、区画が割り振られた番号を一緒にツイートしてくれていたのだ。

13番のエリアにいるらしいので、探していると、
長い列の先にぴえんちゃんがいた。

20人以上は並んでいるだろうか。こんな事ならすぐに来れば良かったと思いながら、
列の最後尾に向かった。

『これお願いします』

最後尾の人からノートのようなものを手渡された。

(ぴえんちゃん最後尾)

と書かれている。
なんて用意周到なんだ。
偉すぎる。偉すぎるぞ、ぴえんちゃん。

 

列に並んでからは、過酷だった。

容赦なく照り付ける太陽に体力を奪われていった。
ストロボのアクセサリーで傘のように太陽をさえぎっている人が羨ましい。

少しでも影に入りたかった。
さらに、急いで並んだので、手持ちの飲み物も底をついた。

この撮影が終わったら、飲み物を買って休憩しようと思った。

 

ようやくあと5人ぐらいになったところで、

『囲みにしまーす』

と、ぴえんちゃんの隣にいた中年のカメコが叫んだ。

(まじかよ…)

1対1で撮れないのは残念すぎる。
せめて良い写真が撮れるように、僕は囲みの最前に座り込んだ。

囲みが戦場なのはわかっているが、これもぴえんちゃんの綺麗な写真を撮る為だ。

 

囲み撮影が始まった。フラッシュがえげつない。
ずっとピカピカ光っている。

目線くださーいのコールもすごい。

まわりのカメコに圧倒されて、声が出せない。

 

その時、ぴえんちゃんがこちらに気づいてくれた。
にこっと笑いかけて、目線をこちらにくれたのだ。

やっぱりぴえんちゃんは優しい。
一度撮影会に行っただけだが、覚えててくれたんだ。

ぼくは無我夢中でシャッターを切った。
5枚ぐらい撮ったら、ぴえんちゃんは違う方向に目線をやった。

囲みだからね。仕方ない。
5枚撮れただけでも満足だ。

『カウントとりまーす。5、4、3、2、1終了です。』

囲み撮影が終わった。
ぼくはぴえんちゃんにお礼を言うために立ち上がろうとした。

 

あれ?急に目の前が真っ暗になった。

 

目を覚ますと病院のベットの上にいた。
どうやら撮影したあと、そのまま倒れていたらしい。

看護師『危ない所でしたよ。水分補給ちゃんとしてましたか?』

ぼく『あ、してたつもりなんですが…』

看護師『つもりじゃだめですよ。次からはしっかりして下さいね』

ぼく『は、はい』

 

撮影のお礼も言えなかったし、目の前で倒れるなんて、
ぴえんちゃんに迷惑をかけちゃったな。

もっと撮影したかったなぁ。

ぴえんちゃん…
ぼくはカメラの撮影データを見ながら少し泣いた。

 

休憩はしっかりしましょう編

ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは休憩した

 

とりあえずぼくは休憩する事にした。

さすがに撮り続けで休憩らしい休憩をしていなかった。
それに昼ご飯も食べてなかった。

キンキンに冷えたスポーツドリンクを買って、
休憩所のテントへと向かった。

 

テントも多少混んでいたが、一人なのですぐに座れた。
あまりお腹はすいてなかったので、一応持ってきていたゼリーを飲んだ。

ぬるい…ぬるいというか生暖かいというか…。
まぁ正直おいしくはなかったが、倒れたら困るので、全部飲んだ。

味気なかったので、お口直しに塩分補給タブレットを食べた。
スポーツドリンクと併用すると危ないと聞いていたが、食べだすと止まらない。

気付いたら5枚ぐらいボリボリ噛んでいた。

さすがに6枚目はやめた方が良いかなと迷っていると、
後ろの席に二人組が座った。

どうやらレイヤーさんとカメコのようだ。

カメコ『暑いねぇ』

レイヤー『ですねぇ、ほんと夏のコスはしんどいです』

カメコ『だね。そうだ、防災公園についたツイートした方が良いんじゃない?』

レイヤー『あ、忘れてたぁ。ありがとうございます。防災公園着いた。暑いからちょっと休憩するっと』

カメコ『休憩はほんと大事だね。ぴえんちゃんは一回列できたらなかなか切れないでしょ?』

 

ん????今なんと!?
ぴえんちゃん!?!?!

ぴぴぴぴ、ぴえんちゃんが後ろにいる?

振り向きたい。振り向きたいけど、振り向けない!!

ぼくはドキドキしながら耳をすました。

 

ぴえんちゃん『そうなんですぅ。大変。でもイベントで頑張らなきゃ』

カメコ『そうだね。明日の写真集販売もあるし、がんばろ』

ぴえんちゃん『はぁーい』

カメコ『そうだ、明日のことなんだけど…』

 

二人は小声で話し始めた。
良く聞こえないが、たぶんサークル参加の話の事なんだろうな。

めちゃくちゃ気になるけど、目の前に座ってるオタクが急にしゃべり始めて、
なかなか聞こえない。

 

オタクA『今期のアニメはなかなか豊作でござるな』

オタクB『間違いないであります。特に生き返ったら小麦だったこと、ムギヘンは最高でござるな』

オタクA『わかるでござる。特に2話のパンにされるかうどんにされるかのシーンの描写は最高だったでござる』

オタクB『まことに!まことにわかりみが深いでござるな。ははははっ』

あぁぁ!こんな時に!静かにしてぇ!

 

カメコ『……ざ……ふた』

ん?今、まさか…

カメコ『じゃあそろそろ行こっか、あ、場所ツイートする時は、この画像使った方が良いよ。あと列も長くなるから最後尾札も使って』

ぴえんちゃん『何これすごぉい。場所に番号あるじゃん。わかりやすい。最後尾札も準備してくれて、おじおじさんいつもほんとありがとぉ』

そう言って二人は立ち去って行った。

 

おじおじさんだと?
いつもぴえんちゃんの写真を撮ってる、photo by おじおじさんだと?
コミゲ会場でもこういう細かな気を使えるからこそ人気カメコになれるんだろうな。

ぼくももっと頑張らなきゃ。
それにしてもさっきの言葉は…。

第6話 ぴえんちゃんを撮影

ぼくは休憩所からぴえんちゃんとおじおじさんの後をつけた。

もちろん、撮影するためだ。

有名なレイヤーさんはすぐに列ができてしまうので、
いち早く並ぶ事がとても重要だ。

どうやら真ん中あたりで撮影するようだ。

おじおじさん『この辺でどうでしょう?太陽の感じもいいし、逆光になるように、こっち向きでいいかな?』

ぴえんちゃん『はーい。いつもの綺麗なお写真期待してま~す』

おじおじさん『まかせて!あ、先に自撮りとツイートして良いよ』

ぴえんちゃん『ありがとうございま~す』

 

ぴえんちゃんは慣れた手つきで小さいライトをスマホに付けて、
自撮り棒で撮影をし始めた。

自撮りしている姿も可愛いなと、ぴえんちゃんに見とれていると、
おじおじさんの後ろにカメコが並んだ。

すると一斉に周りのカメコも並び始めた。
ぼくも急いで列に並んだ。

6人目ぐらいに並べた。

 

コスプレイベントには何回か行ってるが、列に並び始めるタイミングがほんとにわからない。

並んでいいのかな~?ダメなのかな~?どうしようかな~?
あっ!一人並んだ!よし行くぞ!って感じである。

(ピコン)

ぴえんちゃん『おじおじさん。お待たせしました~。』

どうやら自撮りとツイートが終わったようだ。

 

有名カメコであるおじおじさんの撮影テクニックを盗むために、
撮影をガン見した。

ガン見したが、わからない。
そう、めちゃくちゃ普通なのだ。

ストロボ1つを片手に持って、撮影しているだけ、
ぼくとなんら変わらない。

変わらないのに、なんでいつも綺麗に撮れるんだろう。
ぼくとおじおじさんは何が違うんだろう。

でもそんな事は後で考えよう。
とにかく今は目の前のぴえんちゃんの撮影準備だ。

 

15分程待って、ついにぼくの番がきた。
緊張する…。あ、そうだ撮る前にこの前の撮影会のお礼言わなきゃ。

天の声(ぼくは先月ぴえんちゃんの撮影会に行っていたのである)

ぴえんちゃん『お待たせしました~。お願いします♡』

ぼく『よ、よろしくお願いします。あ、あのぴえんちゃん、こ、この前の撮影会楽しかったです。
データまだ現像できてないんだけど、綺麗に加工して渡すからもうちょっとだけ待っててもらっても良いかな。
あ、今日のコス、めっちゃ可愛いですね。衣装も綺麗だし、最高です』

ぴえんちゃん『えっ?あ、うん。ありがとうございます♡』

よし、ちゃんとお礼も言えたし撮影しよう。

 

パシャパシャ、パシャパシャ。

可愛い。どう撮っても可愛い。

3枚ぐらい撮ると、どんどんポージングを変えてくれて、
めちゃくちゃありがたい。

 

30枚ぐらい撮ると、

ぴえんちゃん『なにかしてほしいポーズとかあります?』

ぼく『じゃあ、振り向きで』

ぴえんちゃん『はーい♡』

ぴえんちゃんは腰が壊れるんじゃないかというぐらいの角度で、
こちらに振り向いた。これもめちゃくちゃ可愛い。

ぴえんちゃん『他は大丈夫ですか~?』

ぼく『じゃ、じゃあ座りで』

ぴえんちゃん『はーい♡』

そういうとぴえんちゃんは座り込んだ。

 

夏の露出がちょっと激しい衣装、
座りで目に行くのはそう…谷間だ。

撮影しながらドキドキが止まらなかった。
一心不乱に撮りまくった。

パシャパシャ。パシャパシャ。

この上からのアングル!!

間違いナイトプール!パシャパシャ!!

フォォォォ!!

 

撮影に夢中になっていると。

ぴえんちゃん『あと10枚ぐらいでお願いします♡』

と言われたので、最後に気合いの10枚を撮った。

ぼく『ありがとうございました。またデータ送りますね』

ぴえんちゃん『ありがとうございます。撮影会もまた来てね♡』

ぼく『もちろんです!行きます!それじゃ』

ぴえんちゃん『あ!ちょっと待って』

 

え?ぼくはぴえんちゃんに呼び止められた。

ぴえんちゃん『あのね…実は前に撮影会に来てくれた時から、ぼくくんの事、ちょっといいなって思ってたんだ。
だからね、もし良かったら、この後、二人きりでアフターしない?』

 

 

って言われたりするかも?かも?!と妄想していると。

 

ぴえんちゃん『あのぉ、ぼくくん大丈夫?』

ぼく『え、あ!はい大丈夫です。なんでしょう』

ぴえんちゃん『ちょっと疲れちゃったので、列切りたいんですけど、良かったら最後尾で列切ってくれませんか?
こういうのなかなか頼める人がいなくて…』

ぼく『え!?列切りですか?』

ちょっと待て待て、今やぴえんちゃんの列はざっと20人ぐらい並んでる。
これを切るとなると…一人3分撮影したら1時間はかかる…。

ぴえんちゃんの頼みだけど、さすがに1時間は…。
疲れるし、色んなレイヤーさんを撮影できるせっかくのコミゲ。
でもでもでもでもここでぴえんちゃんに恩を売ったらワンチャンもあるかも!?

 

ぼくは列切りを

した しなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは列切りをしなかった

 

ぼく『ご、ごめんなさい。ちょっと体調が悪くて…』

ぼくが断るとは思わなかったのか、ぴえんちゃんの顔が一瞬ひきつった。
でもすぐにいつもの笑顔のぴえんちゃんに戻った。

ぴえんちゃん『そ、そっかぁ~残念。ごめんね無理言って。コミゲ楽しんでね』

そういうと、笑顔でバイバイをしてくれた。
断って大丈夫…だったかな。

 

それからぼくは防災公園にいるレイヤーさんを撮影しまくった。

可愛くて愛想が良いレイヤーさん、綺麗だけど塩対応だが、それが良いと感じさせるレイヤーさん。
クオリティがえげつなく高いレイヤーさんなど。

さすがコミゲだ、撮りまくっても飽きない。

 

『コミゲ更衣室閉まるので、撮影やめてくださーい』

スタッフが叫んだ。

まだ明るいのにもう終わりか。楽しい時間は早いものだ。

エントランスエリアではまだ撮影できる時間が残っているようだったが、
ぼくは疲れたので機材を片付けた。

 

そして防災公園の自販機でスポーツ飲料を買い、ベンチに座った。
周りにも疲れ切った顔のカメコがいっぱいいた。

暑くて1日ほんとに大変だったけど、すごい充実感だった。
このあと帰ってレタッチしてレイヤーさんに写真送って…。

それは明日でもいいかな…。

とにかく疲れたので、レタッチの事は忘れよう。

ふと空を見上げると、なにかむなしい気持ちにかられた。
必死にレイヤーさんを撮って、1日終わって、でも最後には一人。

ぼく『アフター…行きたかったな』

そうぼやきながら、さっき買ったスポーツ飲料を飲んだ。

生ぬるい悲しい味がした。

 

コミゲの自販機は後半になるとぬるい編
ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは列切りをした

 

ぼく『まかせてよ!列切りするよ』

ぴえんちゃん『ぼくくんありがとぉ~♡ほんとに助かる。これ使って』

ぴえんちゃんはぼくに(ぴえん列切り中)と書かれたスケッチブックを渡した。

ぴえんちゃん『あと、暑いだろうから、これも良かったら使って』

凍ったスポーツ飲料と、塩分補給タブレットを3枚くれた。
普段なら、なんて優しいんだ。

って思うけど、ぼくは知っている。
このスポーツ飲料とタブレットはさっきカメコにもらってたものだ。

複雑な気持ちだった。

 

ぼく『あ、ありがとう。じゃあ行ってくるね』

ぴえんちゃん『はーい!行ってらっしゃい♡』

ぴえんちゃんに行ってらっしゃいを言われるとなんか同棲してるカップルみたいだな。
と、にやけてしまった。男は単純な生き物である。

ぼくは最後尾へと向かった。

 

そこからは地獄だった、暑い。とにかく暑い。
立っているだけというのはほんとに辛い。

さらにスケブがあるせいで、スマホも上手く操作できない。
スマホに集中しすぎても、列が動いたら詰めないといけないので、
色々気にしなきゃいけない。

一番面倒なのは、列切り中と書いてあるにも関わらず。

『もう並ぶのダメですか?』

と聞いてくる奴らが多いという事だ。
ありえない。書いてるじゃん。切ってるって。

マスクありませんと書いてあるのに

『マスクありますか?』

と聞かれていた、薬局の店員さんはこんな気持ちだったんだろうな。

 

ようやくあと一人で終わりになった頃、ちょっとチャラそうな若いカメコが僕の前に立って話しかけてきた。

若いカメコ『もうダメかな?』

ぼく『あー、そうですね。列切ってるので』

若いカメコ『知り合いなんだけど?』

ぼく『え…あぁ…それは…』

ぼくが回答に困ってると、

ぴえんちゃん『あ、イケメンくんだぁ!ぼくくん、その人は通して良いからぁ。ごめんね』

イケメンくん『ごめんねぇ~』

イケメンはそう言うと、列に並んだ。
正直もう疲れすぎて、イライラした。

ぴえんちゃんの為だから仕方ないけど、イケメンはなんか嫌だ。
そもそも、カッコ良いのにカメコってなんだよ。ずるいよ。

タピオカ飲んで、インスタばえぇとか言ってれば良いのに…。

 

イケメンの番になると、スマホでのツーショが始まった。
どこか、ぴえんちゃんが嬉しそうな顔をしているように見えるのは、気のせいだろうか。

イケメンとの撮影は結構早かった。
そもそもツーショが目的だったんじゃ?
まぁでもこれでようやくぼくの列切り任務は完了した。

 

ぴえんちゃん『ぼくくん、ほんとありがとぉ♡』

ぼく『いやいや、全然いいよ』

ぼくは笑顔で答えたが、心の中では、
(ほんとは良くない…お礼の一つや二つ欲しいぐらいの重労働だったよ)

ぴえんちゃん『大変だったでしょ~?なんかお礼しなきゃね。何がいいかなぁ』

と言うとぴえんちゃんは考え込んだ。

イケメン『どれぐらい列切りしてたの?』

ぼく『1時間ぐらいっすね』

イケメン『まじで?やべぇ、すごいね君。俺にはできねぇわ』

ぼく『あはははは』

ぼくの渾身の愛想笑いが決まった頃

 

?『やっと終わった?』

急に声をかけて来たのは、最初に撮影をしてたおじおじさんだ。

おじおじ『列すごかったねぇ。さすがぴえんちゃん』

ぴえんちゃん『そんなことないよぉ。あ、そうだ!私、もう上がるから、良かったらみんなでアフター行きませんか?』

え?アフター!?コミゲのアフターと言えば、ヲンザでアフター?!まさか?

おじおじ『お、じゃあヲンザでアフターしますか?』

やっぱりヲンザだぁぁぁ!キタァァァァ!!
でも待てよ…みんなでって?え?

イケメン『俺もこのあと暇だし行こっかな』

イケメン来るのかよ…なんだよこれ…。

ぴえんちゃん『ぼくくんも列切りのお礼もさせて欲しいし、どうかな?いきなり知らない人と一緒だけど、おじおじさんもイケメンくんもいい人だから』

 

どうする?いい人とか悪い人とかの問題じゃねぇ。
ヲンザでアフターは行きたい。でも知らない人が二人もいる。

一人はイケメン。一人は有名カメコのおじおじ。

ぼくは…ただのなんのとりえもない一般人…。

どうすれば…

ぼくはヲンザでアフターに

行く 行かない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくはヲンザでアフターに行かなかった。

 

ぼく『ぼくは…遠慮しとくよ』

ぴえんちゃん『え?遠慮しなくてもいいのにぃ~。でもあんまり無理に誘うのも良くないよね。今日はありがと、お疲れ様です。イケメン君、おじおじさん行こっ!』

イケ&おじ『うん』

そう言って彼女たちは去っていった。

ぼくは一人防災公園に残った。

10分ほどぼぉーっとしていた気がする。

なぜ行かなかったんだ?あそこで勇気を出して行けば、ワンチャンあったかもしれない。
他に人がいるから、コミュ障発揮しそうだったとか、関係ないじゃないか。

やっぱり行きたい!

ぼくはぴえんちゃんにDMをした。

ぼくDM『今日はありがとう、やっぱりぼくもアフター行ってもいいかな?』

ぼくは返事を待った。

 

10分待っても既読が付かない。

移動してるのかな?

 

 

 

30分待っても既読が付かない。

着替えてるのかな?

 

 

 

 

1時間待っても既読がつかない。

更衣室混んでるのかも。

 

 

 

 

 

 

1時間半待っても既読がつかない。

電池切れてるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

2時間待っても既読がつかない。

DMいっぱいで見れないのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3時間待った。

既読はつかない。なんで…。

 

もう周りには誰もいない。

ぼく『ははっ、ははは』

ぼくは一人で笑いながら泣いた。

結局いつも一人だ。

ぼくは一人だ。

カメラを使って仲良くなっても何も変わらない。

ずっと一人だ。

カメラがあっても意味がない。

全部無駄だったんだ。

 

僕は今日撮った写真を見返した。

ピントがあってない、暗すぎる、明るすぎる。
下手な写真ばっかりだ。

ぼくの写真は無意味だ。

 

 

撮影データを全部消しますか?

YES

 

 

ぼくはひとりだ編
ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヲンザでアフターに行く

 

ええい!どうにでもなれ!

ぼく『行きます!!』

ぼくはついにヲンザでアフターに行くことになった。

 

第7話 ヲンザでアフター

オタクA『見てくだされ!ウナギ先生の新刊ゲットしたであります』

オタクB『すごいでありますな。某にも拝見させていただきたく候』

………

.............

オタクA&B『やばいでござるな!!!』

 

 

どこを見てもオタクオタクオタク。

今日の戦利品をさっそく読む者。

疲れ果ててうつむいている者。

ようやくまともな食事にありついて感激している者。

やりきった感を出してすがすがしい雰囲気をまとっている者。

そう…ここはヲンザである。

 

ぼく『説明しよう!ヲンザでアフターとは』

ヲンザでは大きく3つのグループに分けられる。

①居酒屋や飲食店で食事をするグループ

②フードコートのテーブルで食事をするグループ

③床で酒盛りをするグループ

普段なら、床に座って食事をするなどないだろう。

しかしコミゲだけは別である。

圧倒的に座席が足りないのだ。

コミゲ期間だけ特別に、床に座って良いとされているエリアがテープで作られている。

コミゲという戦場で体力を使い果たしたオタク達は床に座ってでも休憩したいのだ。

そこで仲間と語り合いたいのだ。

 

そしてカメコとして、ここでコスプレイヤーとアフター(食事)をする事が、
一種のステータスとなっている。

通常のスタジオ撮影では、アフターは当たり前のように行われる。
それは、コスプレイヤーとカメコが1日専属で撮影しているからだ。

その日の撮影データの確認や、好きなジャンルの話や、お礼をかねてアフターをする。

 

だが、イベントでは違う。

プレスを除けば、ほぼ全てのカメコが野良カメコとして参加しているのだ。

そう専属で撮影をしているわけではない。

誰が誰を撮っても自由なのだ。

 

つまりアフターに行きたいと思う人とアフターに行くのだ。

この日、コスプレイヤーとアフターに行けるカメコは、
そのコスプレイヤーとそれなりの信頼関係を持っているという事だ。

写真が上手い。コミュニケーション能力が高い。見た目が良い。

これらのどれかを持っていれば、アフターに行ける確率は高いし、
それは勝ち組カメコであるという証でもある。

この日に、アフターに行けないカメコは、

写真が下手。コミュニケーション能力が低い。見た目がヤバい。

のどれかがあり、それは負け組カメコであるという証である。

わかりやすく例えるなら、指名がもらえないキャバ嬢のようなものだ。

 

そもそもアフターに行かないというカメコもいるだろうし、
楽しみ方は人それぞれだ。好きにすればよい。

でもぼくはヲンザでアフターに行きたいのだ。

可愛いコスプレイヤーさんと一緒にコミゲの思い出を作りたいのだ。

アフターに行けなかったカメコに対して、ぼくはぴえんちゃんとヲンザでアフターしたよ?
とマウントを取りたいのだ。

そしてついに!ぼくは来たのだ。

ヲンザでアフターに。

 

 

ぼく『うわぁ…どこもすごい混んでますね』

おじおじ『そ…そうだね。どうしようか』

イケメン『ちょっと待ちましょうか』

ぴえんちゃん『えー。疲れちゃった~。』

ぼく『そうだね。ぴえんちゃんは暑い中コスプレもして疲れてるよね。空いてる席ないか、見てくるね。』

おじおじ『じゃあ私はすぐは入れそうなお店探してきますね』

イケメン『はぐれても困るし俺はぴえんちゃんとここで待ってるよ』

ぴえんちゃん『ありがと~♡行ってらっしゃ~い』

ぼく&おじおじ『……』

 

とりあえずぼくは空いてる席を探し始めた。

だいたいどの席も埋まっている。

さすがにぴえんちゃんを床に座らせるのはダメだろう。

なんとかして、席を探さないと…。

 

ちょうど3人組が席を立った。

ぼくはすぐに席を確保した。

ぼく『やった!』

ぼくはぴえんちゃんを呼ぼうとしたが、見当たらない。

ここで待ってるって言ったじゃないか…まったく。

探しに行く為にぼくは席に

かばんを置いた 会場で貰ったチラシを置いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくはチラシを置いた。

 

さすがにかばんは貴重品も入ってるし、盗まれても困る。

ぼくはコミゲ会場で貰ったチラシを置いて、ぴえんちゃん達を呼びに行った。

トイレの前にイケメンくんがいた。

ぼく『席あったよ』

イケメン『まじ?やったじゃん。あ、ぴえんちゃん今トイレだから』

ぼく『そうなんですね。』

イケメン『そういえばさ、ぼく君ってぴえんちゃんと仲良いの?』

ぼく『え?いや全然そんなことないです。むしろこの前の撮影会で初めて会っただけで、今日も列切りしたぐらいで…』

イケメン『そうなんだ。なら良かった』

ぼく『良かった?』

イケメン『あ、あぁ気にしないで』

そのままぼくらは少し無言だった。

 

ぴえんちゃん『お待たせ♡あ、ぼく君もいる~。席あったの?』

ぼく『見つけたよ~』

ぴえんちゃん『ほんとぉ。さすがぼく君。ありがと♡』

ぼく『ど、どういたしまして。それじゃ案内するね』

 

ぼくは二人をさっきとった席に案内した。

 

ぼく『あれ?』

イケメン『どうしたの?』

ぼく『席とってたのに、違う人が座ってる』

ぼくが席を取ってた場所には、他のオタクとは違い、
チャラそうな男が3人座っていた。

イケメン『え?どういう事?』

ぼく『わかんないよ』

ぴえんちゃん『えー。席とってたんじゃないの?ぼく君言ってきてよ』

ぼく『えええ…』

 

正直チャラい人たちは苦手だったが、
これもぴえんちゃんの為だ。

ぼくは勇気を振り絞り、チャラ男に話しかけた。

ぼく『あのぉ~。その席、ぼくが取ってたんですけど』

チャラ男『え?なに?』

ぼく『あの、そこ、ぼくが席とってたんです。』

チャラ男『は?』

ぼく『いや、その…チラシ…置いてた』

チャラ男『そんなもんなかったけど?』

ぼく『え、だって…その…お尻で踏んでるやつ…』

チャラ男『あーこれ?これ俺のだけど?なんなの?文句あんの?』

ぼく『い、いえ…でもそれ…』

チャラ男『なんなの?いちゃもんつけんのか?』

 

どどどどどどどうしよう。

ぼくは助けを求める為に振り返った。

 

が、イケメン君とぴえんちゃんがいない。

 

えええ…イケメン君…逃げた…???

まじかよ…ありえない…。

と、とりあえず謝ってぼくもすぐ逃げよう。

ぼく『な、なんでもないです。ごめんなさい』

チャラ男『ちょ、待てよ』

ひぃぃぃぃぃぃ…謝ったのに…謝ったのにぃぃぃ。

なに?殴られるの?カツアゲ?このご時世に?今日コミゲだよ?ありえない…でも逃げれない…。

ぼく『は、、、はい。なんでしょうか』

チャラ男『おまえ…鯖(さば)ちゃん推しか?』

ぼく『ふぇっ?!』

 

チャラ男は僕がカバンに付けてた鯖ちゃんの缶バッジを見たようだ。

ぼく『あ…はぁ…鯖ちゃん推しというか、ぼくは青魚を箱推ししてて…』

チャラ男『まじかよ!おれも青魚箱推しなんだよ。ウナギ先生の新刊買ったか?』

ぼく『あ、いえ今日は写真撮影で来てて…買えなくて…』

チャラ男『はぁ?おまえそれはありえないっしょ。良かったら見るか?』

そう言いながらチャラ男はウナギ先生の新刊を出した。

あれ?この人…見た目怖いけど、良い人なんじゃ?

チャラ男『おまえ一人で来てんの?良かったらここ座れよ』

え…どうしよう。なんて答えたらいいんだ?一人じゃないけど…

でもイケメン君達は逃げたし…。

もうぴえんちゃんとかどうでもいいか。ぼくはきっと捨てられたんだ…。

 

ぼく『はい。一人で来てます』

チャラ男『おぉまじか。だったら語ろうぜ』

ぼくらはそれから終電まで語り明かした。

 

 

 

 

2026年8月10日

あれから5年。ぼくはカメコを辞めた。

でもオタク趣味は相変わらずだ。

毎年夏と冬は欠かさずコミゲにくる。

でもやっぱりコスプレイヤーは好きなので、たまにスマホで撮ったりしている。

これぐらいが楽で良い。

 

コミゲのあとの楽しみも変わってない。

ヲンザでアフターだ。

 

ぼく『席取れたよ』

チャラ男『おおまじかよ!やるじゃんぼく。あ、これ頼まれた分』

ぼく『じゃあぼくも、これ頼まれた分』

ぼくらはお互いの戦利品を交換し合った。

チャラ男『今回のシマアジ先生の新刊は最高だな』

ぼく『ほんと最高だね』

 

チャラ男『それにしても、もうあれから5年か』

ぼく『早いね。でもほんとあの時はびっくりしたよ。ほんとに席取ってたんだからね』

チャラ男『あぁ~。すまんすまん。でもさ、まじであの時机の上に何もなかったんだぜ?ゴミだと思われて、片付けられたんじゃね?』

ぼく『まぁ…あんなチラシ置いてたぼくも悪いんだよねぇ』

チャラ男『ま、いいじゃん。それにしてもこの鯖ちゃんの○○が××で……』

ぼくとチャラ男は毎年コミゲで性癖を語り合っている。

 

コミゲに来てるチャラ男はいい奴もいる編

ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくはかばんを置いた。

 

貴重品だけは抜いて、かばんを置いておこう。

目立った方が席取ってる感がでて良いだろう。

ぼくはかばんを置いて、ぴえんちゃん達を探しに向かった。

 

トイレの前にイケメンくんがいた。

ぼく『席あったよ』

イケメン『まじ?やったじゃん。あ、ぴえんちゃん今トイレだから』

ぼく『そうなんですね。』

イケメン『そういえばさ、ぼく君ってぴえんちゃんと仲良いの?』

ぼく『え?いや全然そんなことないです。むしろこの前の撮影会で初めて会っただけで、今日も列切りしたぐらいで…』

イケメン『そうなんだ。なら良かった』

ぼく『良かった?』

イケメン『あ、あぁ気にしないで』

そのままぼくらは少し無言だった。

 

ぴえんちゃん『お待たせ♡あ、ぼく君もいる~。席あったの?』

ぼく『見つけたよ~』

ぴえんちゃん『ほんとぉ。さすがぼく君。ありがと♡』

ぼく『ど、どういたしまして。それじゃ案内するね』

 

ぼくは二人をさっきとった席に案内した。

 

イケメン『あいててよかったぁ。やっとまともに休憩できるな。』

ぴえんちゃん『そうだね~。ほんとつかれちゃった。』

そういうと、イケメンとぴえんちゃんは隣同士で座った。
距離感が近すぎるような気もするが、気にしないでおこう。

ぼく『そういえば、おじおじさんは?』

ぴえんちゃん『あ、連絡しとくね~』

 

ぴえんちゃんが連絡するとすぐにおじおじさんが来た。

おじおじさんはぼくの隣に座った。

 

ぴえんちゃんの隣を取れなかったのは残念だが、正面なら良いだろう。
正面に座る事で会話がしやすいはずだ。

おじおじ『みんな何食べるの?』

フードコートなので、だいたいなんでもあるのだ。

ぴえんちゃん『うどんにしようかなぁ』

ぼく『あ、ぼくもうどんにしようかなぁ』

 

同じものを食べる事で、何かを共有しているという心理が働き、
なんとなく仲良くなれる気がする。

ここは間違いない。うどんで行こう!

 

イケメン『あ、じゃあ俺はハンバーガーにしよ』

おじおじ『私は牛丼食べます。じゃあ、順番に買いに行きましょうか』

 

ここはできる男を演出するチャンスだ。

ぼく『ぴえんちゃんの分も買ってくるから、席でゆっくり休憩してて』

ぴえん『え~ありがとぉ。ぼく君優しいね。じゃあぶっかけの小で♡』

(ほう…ぶっかけ…ぶっかけ…いかんいかん)

ぼく『わ、わかったぁ。買ってくるね』

 

ここでヲンザでアフターの布陣が確定した。

 

ぼく・おじおじ

テーブル

ぴえんちゃん・イケメン

 

いよいよ開幕するヲンザでアフター。

 

第8話 カメコのマウント

ぼく(あぁ~生き返る)

コミゲで疲れた体に染み渡る冷たいうどん。
やっぱり夏は麺類に限る。

みんな一口目には美味しいとか言ってたけど、
その後は無言でご飯を食べた。

さすがにコミゲで疲れているようだ。

ごはんを食べ終わり、一息ついていると。

ぴえんちゃん『そうだ!今日撮ってもらった写真みたいなぁ♡』

とカメコ戦争が勃発しそうな発言をかまして来た。

 

通常カメコが同じレイヤーを同じ条件下で撮る事は少ない。

例えば、おじおじさんがぴえんちゃんをAスタジオで撮ったとする。
そしてその写真が素晴らしいと評価される。

次に、イケメン君がぴえんちゃんをBスタジオで撮る。
それもまた素晴らしいと評価される。

ここにはAスタジオとBスタジオで撮ったという違いがある為、
おじおじさんとイケメン君どっちの写真がすごいのか?という優劣はつけがたい。

 

だが、コミゲなどのイベントではそうはいかない。
基本的に同じ環境、同じレイヤーである。

持ち込む道具、ライティング、レタッチなど、
カメコの実力によって、写真のクオリティが変わってくるのだ。

もちろんスタジオが得意、イベントが得意などの差はでるが、
そんなのはコミゲにおいては言い訳にしかならない。

 

 

イケメン『いいよ~。見て見て~』

イケメン君は自信ありげにカメラをぴえんちゃんに渡した。
カメラはZONYの最新機種だ。レンズも高そうなのがついている。

あれだけで50万ぐらいはするだろう…。羨ましい。

ぴえんちゃんはささっと自分の写真をチェックした。
いつもの営業スマイル風な顔ではなく、真剣な顔をしている。

ぴえんちゃん『ありがとぉ。どれもめっちゃ綺麗。』

 

おじおじ『じゃぁ、私のもどうぞ』

ぴえんちゃん『ありがとぉ、お、重い…』

おじおじさんのカメラはGanonの最新機種だ。
本体もレンズもめちゃくちゃデカい。2kgぐらいはあるんじゃないだろうか。

ぴえんちゃんは重たそうにカメラを持ちながら、またもや真剣な顔でデータを眺めている。
イケメン君よりもデータが多いのか、見る時間が長い。

ぴえんちゃん『さすがおじおじさん。いつも通りでめっちゃ綺麗。じゃあ次ぼく君見せて』

ぼく『…え』

どうしよう。ぼくのカメラはMikonの入門機だし、正直この二人に比べたら写真も上手くない。
見られるのが恥ずかしい…どうしよう…

 

ぼくはぴえんちゃんに写真を

見せた 見せなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは写真を見せた

 

 

ぼくは勇気を出して写真を見せた。

ぼく『こ、これ…』

ぴえんちゃんはじっと僕の写真を見つめている。

 

ぴえんちゃん『え!?これめっちゃ良いぃぃ。ほら見て見て~』

ぴえんちゃんはそう言いながらカメラの画像をおじおじさんとイケメン君に見せた。

おじおじ&イケメン『綺麗だねぇ』

あまり心のこもってない誉め言葉だった。

それもそのはず。顔は暗いし、構図もあまり良くない。
でもたまたま光がいい感じに差してきて、幻想的な雰囲気になっているだけの写真だった。

そう、ほんとにたまたまなのである。

 

ぴえんちゃん『これ、速報に使っても良い?』

ぼく『も、もちろん』

ぼくはすぐにスマホにデータを転送した。
初めてカメラのBluetooth機能が役に立ったなと思った。

ぴえんちゃん『ありがとぉ~。タグ付けもしとくね♡』

ぴえんちゃんは15分ほどお顔のキレイキレイ加工をし、TwidderにUPした。

 

c100

SAKANAコレクション:ぶり

photo by ぼく

 

うおおおおおお!まさかぴえんちゃんのコミゲ速報にphoto by ぼくと載せてくれる日が来るなんて!!

なんて日だ!!

最高だ!!

すぐにTwidderは通知でいっぱいになった。

何を隠そう僕の写真で今までの最高ファボは100だ。
初めて100を超えた時はめっちゃ嬉しかったが、なんとぴえんちゃんの速報は、すぐに1000ファボを超えた。

これが有名レイヤーの力か…すごい。

そしてぼくは優越感に満たされた。

有名カメコや、高価なカメラで撮影した写真よりも、ぼくの写真が選ばれた。

ぼくの方がすごいんだ。

フォロワーも一気に500人増えた。これでぼくも有名カメコの仲間入りだ。
なんたって、コミゲのぴえんちゃんの写真はぼくが撮ったんだから。

ぼくは写真上手いんだぞ。

 

ぴえんちゃん『ぼく君って屋外の写真上手いんだね。良かったら今度プールで撮影しよ?』

ぼく『え?いいの?行く!行く行く!』

まさかのぴえんちゃんからのお誘い。これは行くしかない。

 

 

そして2年の月日がたった。

ぼくは今沖縄でぴえんちゃんと撮影をしている。2泊3日の撮影旅行だ。

最新のZONYの機材で装備を揃えた。全部で100万以上かかっている。

きれいな空と、どこまでも続く青い海、こんなところでぴえんちゃんを撮影できるなんて最高だ。

?『そろそろ移動しまーす』

スタッフが叫んだ。

そう、これはぴえんちゃんが所属する事務所の沖縄撮影会だ。
4人のレイヤーに対して10人のカメコが参加している。

ぼくは15万円という高い参加料を払って、沖縄まで撮影をしに来ている。
もちろん、15万円の中にホテルや航空券は含まれていない。自腹だ…。

カメコとレイヤーは別々のバスで移動する。
ぼくは汗の匂いが立ちこもるカメコ専用バスに乗った。

ぼく『そういえば、2年前のコミゲもこれぐらい暑かったな…』

 

ぼくはコミゲでぴえんちゃんに気に入られてから、プール撮影に行った。
でも当日は曇りで綺麗な写真は撮れなかった…。

それから、二度とぴえんちゃんから個撮のお誘いが来る事はなかった。

 

でもぼくはコミゲで撮れたぴえんちゃんの写真が忘れられなかった。

コミゲの速報は700RT、6000ファボまで伸びた。

僕の中での最高記録。

あれからどんなに撮ってもその記録を超える事ができない。

カメラは最新のZONYにした。

ストロボも高いのを買った。

遠くのイベントや、貸切別荘や、高級なスタジオでも撮影した。

ぼくの機材はすごいんだぞ?

100万円もするんだぞ?

ぼくは写真上手いんだぞ?

なんでもっと評価してくれないんだ。

なんでリツファボしてくれないんだ。

ぼくは今も過去の自分を追いかけて、ぴえんちゃんを撮り続けている。

 

勘違い編

-END-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは写真を見せなかった

 

 

ぼくは写真を見せなかった。

ぼく『で、電池が切れちゃってて…』

ぴえんちゃん『そうなんだー。残念。また送ってね。じゃあおじおじさんの写真速報で使いたいから送って♡』

おじおじ『ラインするね』

さすがおじおじさん。

ぴえんちゃんの速報で写真使われるし、ラインも交換してる。

 

(ピコン)

スマホが鳴った。

どうやらぴえんちゃんが速報をUPしたようだ。

photo by おじおじ

うらやましい。ぼくもいつかぴえんちゃんに写真使ってもらえるといいな。

それにしてもおじおじさんの写真が綺麗だ。

構図も色味も完璧だし、あんなに劣悪な環境だったのに、顔も綺麗にライティングされている。

すぐさま速報は1000ファボついた。

さすがぴえんちゃんとおじおじさんだ。

 

イケメン『ぼく君はいつもどんな写真とってるの?てかTwidder教えてよ』

ぼく『あ…はいこんな感じです…』

イケメン『へえ、SAKANAコレクションが好きなんだー』

おじおじ『私も見て見ようかな』

二人はぼくのメディア欄を漁っていったが、特に何も言わなかった。
響いてくる写真がなかったのだろうか。

 

ぼく『あ、なんかすいません下手な写真ばっかりで』

イケメン&おじおじ『そんなことないよー』

イケメン『てかそのカメラ、Mikonの入門機だよね?俺も最初使ってたわー。それじゃ辛くない?』

ぼく『え…辛くはないですけど…』

イケメン『ほらさ、やっぱ今は瞳AFと高画質の時代じゃん?俺のZONYのカメラめっちゃ使いやすいよ。』

ぼく『え…あぁそうですね』

おじおじ『…』

ぼくもお金があったらZONYの最新機種買ってるよ…。
おじおじさんは何も言ってこないけど、Ganonの最新機種だ。

やっぱりカメコやるなら高いカメラの方がいいんだろうか…

僕に足りないのは機材なのかもしれない。

 

ぴえんちゃん『ちょっとぉ、カメラの話わかんない!ぴえんは綺麗に撮れたらなんでも良いと思うな♡』

ぼく『ぴえんちゃん…』

ぴえんちゃんの優しさに涙が出そうになった。
そうだよね。綺麗に撮れたら機材なんて関係ないよね。

 

ぴえんちゃん『そんなことより、お酒飲まない?せっかくだし楽しもうよ♡』

ぼく&イケメン&おじおじ『飲みます!』

 

ぼくらはコンビニでお酒とおつまみを購入し、さっきの席で宴会を始めた。

ぴえんちゃんは1本目は可愛く(ほどよい)を飲んでいたが、2本目からは(つよつよゼロ)を飲み始めた。

カメコとレイヤーが集まれば、自然と話題はコスプレ界の闇になった。

今まで会ったやばいカメコの話、レイヤーの加工がヤバい話、
あのレイヤーとカメコはできてるとか、闇の話は盛り上がる。

お酒の力ってのはすごいもので、ぼくもテンションが上がりとにかく楽しかった。

 

第9話 ワンチャン

ぴえん『ぴえん酔っちゃったみたーい♡』

ネットで酔っちゃったみたいって言う女の子は、絶対酔ってないって言ってたけど、
そんな事可愛いぴえんちゃんの前ではどうでも良かった。

イケメン『大丈夫?飲み過ぎじゃない?』

ぴえん『だいびょうぶ~』

ろれつが回ってないぴえんちゃんはすこぶる可愛い。

ぴえん『ぴえんおトイレ行きたい』

そう言ってフラフラ歩きながらトイレに向かった。

 

-5分後ー

ぼく『遅いですね。ぴえんちゃん』

イケメン『確かに』

おじおじ『だいぶ酔ってましたし』

 

ぴえんちゃんの安全を確かめる為ぼくは

自分で見に行った イケメンに任せた おじおじに任せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・イケメンに任せた

 

イケメン『じゃあ俺が見てくる』

イケメンはスタスタとトイレに向かった。

 

ー5分後ー

おじおじ『遅くないですか?』

ぼく『そうですね…なんかあったのかな?』

おじおじ『私たちも見に行きましょう』

僕たちはトイレに向かった。

 

おじおじ『いません…ね?』

ぼく『ぼくあっち側のトイレも探して来ますね』

おじおじ『よろしく』

僕たちは30分程探したが、ぴえんちゃんとイケメン君は見つからなかった。

ピコン!

おじおじさんのスマホが鳴った。

ぴえんちゃんからのようだ。

おじおじさんは一通り読んで、不機嫌そうにぼくにスマホを見せて来た。

要約すると、

『ぴえん気持ち悪くなっちゃったから先に帰る。イケメン君も疲れたから帰っちゃった。』

との事。

これって…

おじおじ・ぼく『あーーーーー察し』

ぼくらは無言のまま家に帰った。

 

ー2ヶ月後ー

『どーもぴえんです!イケメンです!二人でぴぃめんです』

ぴえんちゃんとイケメン君はカップルチャンネルを開設していた。

美男美女だからめちゃくちゃ伸びるのかなと期待していたが、

どの動画も今一つ伸びず、チャンネル登録者数も500人程だ。

 

コスプレイヤーだった頃のぴえんちゃんはモテモテだったのに、
イケメン君と一緒にデビューしたのが間違いだったのだろう。

動画の更新はどんどん少なくなった。

そして半年後…ぴえんちゃんが容疑者としてニュースに出た。

殺人未遂だ。

どうやらイケメン君の女性関係でもめたようだ。

Twidderではぴえんちゃんとイケメン君の考察で大盛り上がり。

某匿名掲示板サイトではやばい画像がいっぱいUPされていた。

 

2ヶ月もたつと、誰も話題にしなくなった。

イケメン君やぴえんちゃんのその後はわからない。

ぼくは深く関わらなくて良かったなと思い。今日もコスプレ撮影を楽しんでいる。

 

 

 

ピンポーン

イケメン『はぁーい…』

 

 

 

 

 

 

 

ぴえん『ぴえん…』(ザクッ

 

地雷deathレイヤーお持ち帰り破滅エンド

ーEND-

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・おじおじに任せた

 

おじおじ『じゃあ私が見てきますね』

おじおじさんはスタスタとトイレに向かった。

 

ー10分後ー

イケメン『さすがに遅くね?俺らも探しに行こうぜ』

ぼく『そうですね…行きましょう』

僕たちはトイレに向かった。

イケメン『いねーな。おいぼく、あっちのトイレ探してこいよ』

ぼく『あ…え…はい』

イケメン『さっさと行けよ』

 

何やらイケメン君は焦っているようだった。

命令口調で少しムカついたが、遠い方のトイレに向かった。

 

『や、やめて…』

ぴえんちゃんの声だ。

ぼく『何やってるんですか!?』

おじおじさんがぴえんちゃんを個室に連れ込もうとしていた。

おじおじ『ち、ちがう!こいつが、こいつが!』

ぼく『何が違うんですか!?とりあえず離れて!』

 

『どした?どした?』

僕らが大声で言い合っていたので、周りの人達が集まってきた。

写真を撮る人、動画を撮る人、ただ見る人など様々だ。

 

『どけ!どけって!』

凄い形相でイケメン君が人混みをかき分けてきた。

イケメン『ぴえんちゃん大丈夫?』

ぴえん『・・・』

イケメン『おいぼく!これどうなってんだよ!』

ぼく『いや、ぼくにもわからないんだけど、おじおじさんが無理矢理ぴえんちゃんを』

イケメン『おじおじてめぇー』

おじおじ『ち、ちがっ』

 

弁明する間もなく、イケメン君のパンチがおじおじさんの顔面に炸裂した。

イケメン『ぴえんちゃんいこ』

ぴえん『う、うん…』

おじおじ『ち、違うんだ…』

 

この件はすぐにTwidderで拡散され、おじおじさんのアカウントは大炎上。

おじおじさんは鍵垢にして無言を貫いた。

 

ぴえんちゃんは長文のメモ帳4枚で今回の件の説明をしていた。

『酔っていたところを無理やり連れ込まれた』

『何回も撮影に行ったカメラマンだから信じていた』

『同じ被害に合わないように、拡散希望etc』

ぴえんちゃんのリプ欄には、

『大丈夫?カメコはやっぱりクソ』

『俺ならそんなことしないのに…落ち着いたら撮影しようね』

『ぴえんちゃんは悪くないよ。』

などなど、ぴえんちゃんの囲いのリプが大量だった。

さすがに僕も今回の件はおじおじさんが100悪いと思っている。

あの状況を見たら…ね。

でも…なにが違ってたんだろう…。

 

 

ー2年後ー

ぼくは変わらずイベント撮影に来ていた。

やっぱりコスプレイベントは良い!

わちゃわちゃお祭り感が最高だ。

今日は誰から撮ろうかな~。

お!?あの子可愛いな!ここに並ぼ!

ぼく『あのぉ、この列に並んでも良いですか?』

最後尾に並んでいたおっさんカメコに聞いた。

?『大丈夫ですよ…ってぼくくん!』

ぼく『おじおじさん!?』

おじおじ『しぃーーーーその名前で呼ばないで!今はOziだから』

ぼく『王子?』

Ozi『違う、違う、アルファベットでOzi』

ぼく『あー、はぁ…』

よくわかんないけど、なんかこだわりがあるんだろう。

ぼく『というかOziさん、カメコ復帰したんですね?』

Ozi『最近復帰したんだよ。あれから大変で…』

ぼく『で、ですよね…』

Ozi『ぼくくんも私が無理矢理連れ込もうとしたと思ってる?』

ぼく『え、まぁ…そうですね。』

Ozi『そうだよね…でもねほんとに違うんだよ』

ぼく『どういうことですか?』

Ozi『実は…』

Oziさんは2年前の出来事を話してくれた。

 

おじおじはトイレの前でうずくまっているぴえんちゃんを見つけた。

おじおじ『ぴえんちゃん大丈夫?』

ぴえんちゃん『ぎもちわるい・・・うぅ吐きそう』

おじおじ『え!?大丈夫?とりあえずトイレ行こトイレ!』

ぴえんちゃん『む、無理…歩けない』

おじおじ『えぇ…』

ぴえんちゃん『で、出そう…』

おじおじ『と、とりあえずここの個室に入って!起こすよ!引っ張るよ!』

ぴえんちゃん『何すんのよ!』

おじおじ『え?!とりあえず個室いかなきゃ、ここでゲロはまずいって…』

ぴえんちゃん『や、やめて…』

 

そこにぼく登場。そしてイケメンに殴られる。

という事だったらしい…

ぼく『まじですか…』

Ozi『まじ…これが真相』

ぼく『なんで弁明しなかったんですか?Twidderとかでも言えたじゃないですか?』

Ozi『そんなの、いくら弁明しても、人気レイヤーの囲いに潰されるだけだし…。無言の方がダメージ少ないかなって…』

ぼく『た、確かに…』

Ozi『でももう終わった事だから…私はひっそりとカメコをやりますよ』

ぼく『が、頑張りましょう!』

Ozi『それじゃ』

Oziさんはレイヤーさんをサクッと撮影し、ニヤッと笑いながら去っていった。

Oziさんは、自分は悪くないって言ってた。

でも僕は知っている。

ぴえんちゃんを個室に連れ込もうとしてた時に、
Oziさんの頬にぴえんちゃんの口紅がうっすら付いてた事を。

 

Oziさんの話では、Oziさんは悪くない。

ぴえんちゃんの話だとぴえんちゃんは悪くない。

本当に悪いのは、誰なんだろうか…。真相は分からない…。

コスプレ界隈の闇は深い…。

 

SNSは怖い編

ーENDー

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・自分で見に行った

ぼく『じゃあぼくが見てきますね』

ぼくはスタスタとトイレに向かった。

 

ぼく『ぴえんちゃーん』

いないな。もしかして体調崩してトイレにこもってるのかな?

近くの女子トイレで待ってみたが、出てくる気配はなかった。

ぼくは遠い方のトイレも調べに行ってみる事にした。

 

遠い方のトイレの前にうずくまっている女の子がいた。

ぴえんちゃんだ。

ぼく『ぴえんちゃん大丈夫!?』

ぴえん『あ、ぼくくんだぁ~ちょっと気持ち悪くて…えへへ』

ぼく『え、大丈夫じゃないじゃん。お、お水とかいる?』

ぴえん『大丈夫、ありがとぉ…でもちょっと吐き気がするの…トイレの中まで行きたいけど歩けなくて…』

ぼくはぴえんちゃんを介抱するために

一緒にトイレに入った 助けを求めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・一緒にトイレに入った

 

ぼくは気持ち悪そうなぴえんちゃんを個室へと連れて行った。

入ってすぐにぴえんちゃんがぼくに抱きついてきた。

ぴえん『ぴえん…寂しいの…』

ぼく『ぴえんちゃん…』

ぼくはぴえんちゃんをギュッと抱きしめた。

 

 

 

ー半年後ー

ぼくは今、彼女がいる。

相手は超有名コスプレイヤーだ。

仕事が忙しいらしく、なかなか二人きりで会えない。

会えるタイミングと言えば、月2回の撮影会だ。

僕たちは付き合っているのを隠して撮影している。

どーだ他のカメコ共、お前らが必死こいて撮影してるコスプレイヤーは俺の彼女だぞ?

と、心の中だけでマウントを取っている。

 

この前の誕生日には、撮影会の終わりにプレゼントをあげた。

欲しがっていたブランドのバッグだ。

それ付き合ってるって言わなくない?って?

おいおい、ちゃんとぼくらは結婚を考えているよ。

体の関係?そんなのまだないに決まってるじゃないか。

彼女は結婚するまでそういう事はしないって言うしっかりした子なんだよ。

結婚したら最初は二人きりで過ごして、1年たったら子供を作る。

子供は3人ぐらいがいいかな。名前も決めてあるよ。男の子でも女の子でもいいように。

キラキラネームっぽいけど、可愛いからいいでしょ。

なんてことを二人で、ちゃんと、相談してるんだよ。

ぼくらはきっと幸せになるよ。

 

 

 

ぴえん『ぴえん…』

勘違いガチ恋クソヲタク編

ーENDー

コミゲをやり直す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・助けを求めた

 

ぼく『す、すいませーん。だれか女性の方』

そのへんにいた女性『どうしました?』

可愛らしい女の子が声をかけてくれた。

ぼく『あ、この子、体調が悪いみたいで、トイレまで連れてってあげてもらえませんか?』

そのへんにいた女性『いいですよ~。じゃあ行きましょうか、歩けますか?』

そのへんにいた女性は慣れた手つきでぴえんちゃんを起こしてトイレへと連れて行った。

 

ぼく『そうだ、みんなに連絡しなきゃ』

ぼくはイケメン君とおじおじさんに連絡した。

 

 

ー30分後ー

ぴえんちゃんとそのへんにいた女性がトイレから出てきた。

ぴえん『ぴえん…』

ぴえんちゃんは先ほどとは打って変わって元気そうだが、少し悲しそうでもあった。

そのへんにいた女性『もう大丈夫だと思いますよ~!』

ぼく『ありがとうございます。あのぉ、物凄い手際良くてびっくりしました。』

そのへんにいた女性『あ、まぁ職業柄…それじゃ私行きますので』

ぼく『あ、ちょっと待ってください。良かったらお礼させてください』

そのへんにいた女性『お礼なんていいですよ~』

ぼく『いや…でも…あ、良かったら連絡先だけでも…』

そのへんにいた女性『じゃぁ…Twidderで良ければ!』

ぼく『ありがとうございます。後で連絡しますので!』

そのへんにいた女性『はぁーい。それでは』

 

 

 

 

ー数日後ー

ぼく『今日はよろしくお願いします』

そのへんにいた女性『こちらこそ!』

そのへんにいた女性はまさかの屋上で撮影した秋刀魚ちゃんだったのだ。

すごい偶然にお互い盛り上がり、スタジオ撮影をすることになった。

 

ぼく『さすがです秋刀魚ちゃん似合いすぎです!』

そのへんにいた女性改め秋刀魚ちゃん『ありがとうございます』

撮影中も秋刀魚ちゃんは笑顔だし、優しい、

写真もほとんど褒めてくれるし、要望があったら、しっかり言ってくれる。

なにより撮影中の会話が楽しい。

ぴえんちゃんを撮ってた時も楽しかったけど、ただ可愛いだけだった。

 

でも秋刀魚ちゃんは違う。

同じジャンルが好きで、波長も合う。

ぴえんちゃんを撮ってた時よりも100倍楽しい。

ぼく『それじゃーラスト1枚いきますよー!3、2、1』

ぼくのコスプレカメコライフはこれからだ!

 

ヲンザでアフター

ーTRUE ENDー

 

 

あとがき

ここまで読んでくれてありがとうございます。

楽しんで頂けましたか?

コスプレカメラマンって大変だけど、なんやかんや楽しい趣味です。

思うように撮影できなかったり、カメラの性能でマウント取られたり、

やばいレイヤーに粘着されたり、SNSが炎上したりする事もありますが、

だいたいは大丈夫です。

これからも楽しみながら、コスプレ撮影が上達するような物語を発信していきます。

良ければ応援よろしくお願いします。

普通のコスプレカメラマンになる為に、なりぴくの記事も良かったら読んでね。

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